モノゴトが長持ちするための秘訣
アトリエにはピアノがあります。昭和40年代につくられた「黒くない」ピアノです。
夫の本家である祖父母宅にて購入され、その後どんな経緯があったかわかりませんが、長い間放置されたピアノでした。我が家が建つ前に娘もいることだしとピアノを譲り受けました。我が家を設計してもらっていた工務店にもピアノのサイズをお伝えして、そのピアノが我が家で、娘がピアノを習い始めることで音を奏で始めました。
そのピアノが調律される日。

調律師の方は、ピアノが我が家にやってきた時からのご縁。
3時間にも及ぶピアノの調律は、機械式腕時計のアフターセールスに携わっていた私にとっては、アミューズメントパークです。それは、娘にとっても同じようで。
娘が興味津々で調律師さんの横をちょこまかと動きます。そういった興味をきちんと受けとめてくれて、板が外れ露わになったピアノの全貌や、音の響きの違いなどを、子どもたちにもわかりやすい言葉で教えてくれます。

受け継がれていくものの尊さ
昭和40年代に作られたピアノ。埃をかぶってはや半世紀。娘の誕生と習い事のご縁で、我が家では再度脚光を浴びています。
電子ピアノやキーボード、便利なものは多種多様で生まれます。その時代その時代で、必要とされるニーズの違いから利便性などで新しいものがスポットライトを浴びるものですが、いいものや本質的な物は、常に残るんです。それが世の常。
私が携わっていた機械式腕時計もそのひとつでした。度重なる時代の波に揉まれながら、クォーツ時計という当時の流行に価格の安さや姿勢差などの品質の良さに押されながらも、結局のところは今でも「高級」と言われながらもしっかりと令和の世にも数多くの時計メーカーが残っています。
使い捨てと長く残るもの
必ずとは言いません。
人知れず淘汰されるものもあるでしょう。けれど、「使い捨て」という言葉と相対する位置に、機械式腕時計も、ピアノも、そしてわたしたちの身体も、存在すると思います。人間のからだはもちろんですが、「壊れたら替えればいい」といった考え方は、もうこれからには通用しないと思いたいです。
私たちのからだは、ひとつとして換えの効かない大切な宝。
だからこそ、きちんとメンテナンスしなくてはこれから寿命が尽きるまで、健やかに生きられると思いますか?からだも機械も、とても正直でかけた分の時間だけ正常に動くもの。少しでも軽んじれば、からだのストライキはすぐに起こります。
だからこそ、これからは骨格構造から整えて欲しいんです。
自分の身体を守れるのは、子どもの頃は親が代わってみてくれているかもしれませんが、大人になってからはたった一人の、自分しかいないんです。
昭和生まれのピアノは半年に一度
私も昭和生まれ。ピアノも昭和生まれ。
ピアノは、長い間調律されなかったこともあり、半年に一度の調律を勧められました。なぜかというと、ピアノの内部の弦の部分が引き戻ろうとする力の方が強いため、短い期間で今までの状態に戻ろうとする力が相当強いんですって。
骨格にも同じことが言えるのでは、とそれを聞いた時なんだかピンときました。
手をかけていないからだほど、元に戻りやすい。少しずつでもいいから、コツコツと変化させていくことで、からだの状態は変化しやすくなります。
いまは特に感じなくても、からだはは確実に経年劣化を経験します。それが世の常。どんな人にも老化はくるもの。さて、あなたはいつから、どこから調律しますか?